平成26年5月

 以前から家族ぐるみで徒歩6分の近くにあるAクリニックに外来でお世話になっていました。平成23年5月、妻(83歳)が歩行困難となって参りましたので、院長先生から在宅医療介護(入院医療との差異は殆ど無い)の説明を受けお願いすることに致しました。

 人生の終末を住み慣れた自宅で家族の介護を受けながら療養できることは、本人はもとより家族も常時接することにより安心でベターであると判断しました。娘に会社を辞めてもらい私(83歳)と二人で悔いが残らないように最善を尽くすことにしました。

 患者の療養の日程(2週に1回院長先生、週1回看護師さんの訪問、週2回のリハビリ、週3回の訪問入浴など)を最優先に準備をして対応してきました。

 日月の経過とともに症状は進行して参りましたが、なんとか平成26年の正月を迎えることが出来ました。当方もかなり疲労が蓄積し先に倒れるのではないかと不安をかかえていました。それを察知してくれたのか1月27日20時30分に吐血があり、Aクリニックに連絡、看護師さんと院長先生が来診され、最後が近いことを告げられました。

 私達家族は患者の枕元に寄り添って涙ながらに、よく頑張ったね!と名前やありがとうを連呼していましたが、翌28日午前1時8分に遂に息を引き取りました。60年間連れ添った辛抱強かった妻は2年9ヶ月に及ぶ療養の末に、安らかな一番いい顔をして天に召されましたのが何よりの慰めでありました。86年2ヶ月の人生で女性の平均寿命近く迄生かされたことは本当に感謝でありました。

■ 在宅ケアで良かったことは
1.自宅療養でいつでも患者の状態を見ることができる
2.いつでも患者と会話ができる
3.今患者が何を望んでいるかを思い対処できる
4.お世話下さった
  ・Aクリニックの院長先生始めスタッフの方々
  ・リハビリの若い先生
  ・訪問入浴のスタッフの方々
  には本当に親身も及ばぬ優しさで接していただき頭の下がる思いであります。患者も始めの頃は、ありがとうを連発していましたが⋯⋯⋯⋯ 本当に感謝でありました。
5.急用の場合はAクリニックさんが24時間対応で対処してくれたこと。
などであります。
 
 妻が招天してから5ヶ月になろうとしていますが87歳の老骨には未だ日々が空しく、虚脱感に見舞われております。今になって家庭の主婦は家事や出産育児など全般を文句も言わずに長年、心労に耐えて頑張ってくれたことに、改めて女性は強く偉大であると感じた次第であります。

看取り